二日目

二日目 紀勢本線の旅&二木島編


天気は前日の予報に反して晴れ。

本日の目標は、「紀伊勝浦まで本日中に辿り着く」です。

青春18きっぷでの移動になり途中下車の予定もあるので、電車が無事に動いてくれることを祈ります。

昼食のあてがないため、しっかり朝食を摂ってから出発。

とにかく紀勢本線は本数が少ないので、電車の時刻だけは事前にしっかり調べておきます。接続できないどころか、目的地まで行く電車がない、なんてことになりかねません。

まずは紀勢本線へ乗り換える多気駅へ向かいます。

「乗り換えのある駅だからそれなりの駅なんだろう」などと話している間に多気駅に到着。

なるほど。

事前に聞いていた通りの田舎っぷり。期待と不安でハイテンションになりながら紀勢本線に乗り込みます。平日の10時前といった時間故か、車内の人はまばら。ほとんどは我々のような外の人間に見えます。

ほどなくして出発。

紀勢本線は予想をはるかに上回るダイナミックな田舎。山、谷、川の間を列車が駆け抜けていきます。以降ひたすら車窓から外を眺め、夏を切り取るお仕事。

それにしても青春18きっぷのお手本のような贅沢な時間の使いかた。東京暮らしに慣れきった目に、空の青と山々の緑がこれでもかと突き刺さります。

途中、紀伊長島という駅で30分ほど停車。

その間に地元の中学生と思しき少年たちが数人乗ってくるのを見て、この路線にも生活の一部として利用する人がいるんだなと実感します。

ついでに駅前の牛乳屋?も覗いてみます。

昨日と同じ、大内山コーヒーが売っていたので購入。個人的にはかなり好みの味です。(そういえばさっき車窓から大内山コーヒーの工場が見えたような…?)

見慣れない一見のお客にも声をかけてくれたおばちゃんと、ぱらぱらと会話を交わして車内へ。

その後は時折車窓から見える海に興奮しつつ、事前にグーグルマップで目星をつけておいた二木島という駅で途中下車。

この二木島町、人口は300人程度、駅の1日の平均乗車人員も30人に満たないという小さな町で、熊野古道伊勢路が通っている以外には目立った観光資源があるわけでもありません。ただ平成8年(1996年)春に青春18きっぷポスターのロケ地となっており、ただゆっくり写真を撮って時間をつぶすには最適な気がしたのです。

時刻は正午過ぎ、空は辛うじて晴れています。

まずは唯一の道に沿って湾の北側をひたすら直進。JAの建物を通り過ぎたあたりで、件の青春18きっぷポスターと同じ構図で写真を撮ってみます。

こういうのやりたくなってしまうのが、やはりオタクの性といったところでしょうか。

そのまま更に先へ進みます。

急な崖に沿って敷き詰めるように民家や寺、墓地などが建てられ、さらにそれらを接続する坂道や階段、配管などが縦横に張り巡らされています。「縦横の両方に広がる居住区」というのになんとも言えないロマンを感じます。実際に住むとなると中々大変でしょうが。

こういう階段とか。平野部で生まれ育った私にはかなり珍しい景色に感じます。

その後もしばらく進み、民家が消えたあたりで来た道を折り返し。

やや晴れ間が増えてきたので、海を眺めるべくなるべく高いところを通ってみます。

「最高の夏」by yasu

陽の光を受け、海が水色に輝いて見えます。そうそう、こういうのが見たかったんだよ。

さらに進むとお寺の入り口に到着。階段の脇にスペースがあったので少し休憩。綺麗に澄んだ海と晴れてきた空、眼下に広がる小さな港町の景色に、思わず時間を忘れて眺めてしまいます。

しばらくのんびり景色を眺めていると、どこからか風にのって豆腐屋のラッパの音が。しっかり録音させてもらいました。

録音中しばらくその場を離れていると、眼下の道路をアイス咥えて自転車に乗った女児が駆け抜けていきました。こんなところで育ったらいったいどんな大人になるんでしょうか。

一通り満足したので下山。先ほど通過したJAの建物内のコンビニのような個人商店のようなお店に立ち寄ってから、一番写真を撮りたかった駅前の橋を写真に収めます。

丁度いいタイミングで電車がやってきてくれた(我々の行先とは逆方向)ので、こちらもしっかり撮影。その後は橋の横の休憩所でしばらく休憩し、数年前に廃校になった中学校の近くまで行ってみることに。

緊急時の避難所も兼ねていたのでしょうか、中学校は急峻な坂の先、高台の上に建っています。ここを毎日歩いて通学していた子供達はさぞ健脚だったことでしょう。

振り返ると線路の先にこれまで歩いていた町が一望できます。やはり高所から眺める夏の港町は最高。

その後町中の熊野古道を指し示す看板に従って進むと、何故か先ほどの中学校の裏手に。特に封鎖されてはいないようだったので進んでみると、熊野古道は一度中学校の敷地を通り、そのまま森の中へと続いていました。

学校の裏手にこんな神秘的な道があって大丈夫なんでしょうか。

あとは早めに駅まで戻ってぼんやりと。駅の反対側の崖からおばあちゃんが手を振ってくれたのでこちらも大きく振りかえすなどしている間に、時刻通りに電車が到着。4時間ほどの二木島探索を無事に終えました。

本日の宿である紀伊勝浦へ向かいます。

新宮駅で乗り換え。熊野の玄関口にして、JR東海と西日本の境界でもあります。

JR西日本の車両には扇風機が搭載されていました。

紀伊勝浦駅に到着。

宿へ行く前にちらっと商店街の方を覗いてみましたが、時間のせいか閑散としています。

野ざらしマグロクッション

本日の宿。

民宿ではありますが、夕飯が質、量ともに高く大満足。一日中歩き回っていた身体に染み渡ります。更に宿のお兄さんが豊富に取り揃えられた地酒についてオススメをセレクトしてくれるので言うことなし。

明日からはいよいよ熊野三山への参拝なので、衣類を洗濯している間に宿に備えてある写真詩や地図等見ながら構想を練ります。

その後は早めに就寝。

三日目へ続きます。